院長の石川 哲也です。
矯正治療をしていて患者さんからの質問でよくあるのが「抜歯しないとダメですか?」「歯を抜かずに治せませんか?」「歯を抜いても大丈夫ですか?」など。歯を抜くことに対する抵抗感を口にする人が多いです。これに対する正しい答えは「ケースバイケース」。矯正治療における長い歴史から解説していきます。もともとは顎の大きさと歯の大きさのバランスの違いによるガタガタを治すために歯を抜く事は避けられませんでした。
しかし、技術も発達し歯を抜かずに顎を大きくして並べる方法も考えられ、無理矢理治す方法が流行った時代もありました。
「歯を抜かない」と言う方法は、一般受けしやすい性格を持っているため流行りました。
ところが、歯を抜かずに無理やりに治したことによる弊害が出始めました。
うまく噛めなかったり、仕上がりが美しくなかったり、顎が大きく成長しなかったために結局顎の骨から歯が飛び出してきたり、歯茎からすべての歯を生えさせることができなくて歯茎の影に隠れてしまった歯に虫歯を作ってしまったり……そういう失敗もたくさん出てきました。
日本矯正歯科学会でも、抜くべきときは抜く、抜かずに済ませられる時は抜かない、という風に「ケースバイケース」で対応しています。こういった事も一般の方には正しい情報が伝わりにくいです。昨今、インターネットが発達し、本当の情報、偽りの情報が無責任に流れる時代となっております。我々専門家も正しい情報が伝わるように努力していきたいと考えております。最近では抜かずに治すことができる患者さんが増えている事は事実ですが、開始年齢や元々の骨格の条件により抜いた方が理にかなっている方は抜かれたほうがいいと思います。